Training notes at the Horngacher Harp Factory
ホルンガッハ ハープファクトリー研修記
ホルンガッハは、ドイツのハープメーカーです。
ミュンヘンの南にあるシュタンベルグという街に工房を構えており、日本では、丸一ピアノ・ハープ社(本社・大阪)が総代理店です。
当工房は、丸一ピアノ・ハープ社と業務提携しており、今回の研修は丸一ピアノ・ハープ社からの依頼で行ってきました。
(2001年10月8日~29日までの20日間の研修記です。)
History of the Horngacher harp
ホルンガッハ ハープの歴史
Honzertharfenbau
コンサートハープの製作
1928年、ヨセフ・オーバーマイヤー親子がミュンヘンにおいて鉄道の古い客車を工房に改造してハープを作り始めた。
第二次世界大戦中、1944年の大爆撃に遭遇して全てを失ってしまったが、終戦後の1948年、再起を期してオーストリアのカウフシュタイン・チロルに小さな修理店を開いた。
その頃、かねがねグランドハープ製作に興味を持っていたマキシミリアン・ホルンガッハ氏が彼らと歴史的出会いをしたのである。
1952年、オーバーマイヤー氏はミュンヘン近郊のシュタンベルグという湖のほとりの美しい街に工房を構え、移り住んだ。
この建物が、現在のホルンガッハハープの工房である。
1955年、シュタンベルグに招かれコンサートハープの製作に力をそそいでいたホルンガッハ氏は、1966年、オーバーマイヤー氏の死去に出会い、仕事の全てをそのまま引き継ぐことになった。
この直後からハープのレーベル(名称)はオーバーマイヤー(Obermayer)からホルンガッハ(Horngacher)に変わったが、楽器の設計や製法の殆どは変えられる事なく現在も継承されている。
1977年、長男のクラウス氏が仕事に加わり、現在は父であるマキシミリアン氏を助け彼が会社の運営を任せられている。
年間18台しか製造しない鉄則は堅く守られ、ホルンガッハ・コンサートハープは、70年近い経験と専門的な伝統に培われ、今日も世界の至宝と称えられている。
After the training
研修を終えて
ホルンガッハのハープ工房へ訪問するのは3回目になりますが、研修目的での滞在は今回が初めてでした。
日本におけるハープの修理・修復事情は、演奏家人口が少ないこともあり、唯一の修復家は東京在住の稲葉氏一人と云うのが実情でした。
当工房は、ホルンガッハの販売総代理店である丸一ピアノ・ハープ社及び、総輸入元の丸一商店と長年の業務提携により、専属の技術者として、事業拡張も兼ね、研修に至りました。
研修の主な内容は、新品ハープの製作工程見学に始まり、出荷検査の実施、修理依頼品の修復・調整実施、社長のクラウス氏に同行し、出張修理における実践、など大変内容の濃いものでした。
スタッフの数は社長を含め7名で構成。鉄工、木工に各専門の職人がおり、自分たちの仕事を確実にこなし、それが一つになった時、初めて世界の至宝と呼ばれるホルンガッハハープに仕上がります。
その仕事に賭ける情熱はドイツ人らしい、妥協を許さないものでした。
ハープは、古くから存在する楽器の一つですが、メカニックな部分は大変繊細であるにもかかわらず、作り全体はとてもファジーです。
あまりこのような言葉を使うと危険ですが、決していい加減ということではありません。
自然の産物を使い、優雅さと良い音作りを目指すとこうなってしまった...とでも言いましょうか。
研修を終え、感じたことは、「ファジーであるが故、より精度を上げなければ楽器のトータルバランスが保てない」と云うことでした。
テストハーピスト
Gudrun Haag
Nora Sander